【登山で木の名前がわかる③】シラビソ・ダケカンバ・ハイマツの見分け方|標高1,500m以上の高山で出会う木3選を葉・樹皮・樹形で見分ける
こんにちは、ささみんです!👋😊
標高が1,500mを超えてくると、山の景色がガラッと変わります。
低山のコナラ・ブナ・ミズナラの森とは全然違う、独特の雰囲気の森に入ってきた感覚。青みがかった針葉樹が密集し、白い幹の木が混じり、やがて樹木が低くなって地面を這う緑の塊が広がる。
あの景色の主役が、今回の3種です。
シラビソ・ダケカンバ・ハイマツ。
この3種を覚えると、亜高山帯・高山帯の山の景色に「読み方」ができます。「あ、ダケカンバが減ってハイマツに変わってきた。もうすぐ森林限界だな」というように、木を見るだけで自分の標高と位置がわかるようになります。

この記事を書いたのはこんな人です:
- 55歳・ソロ登山者
- 雲取山・瑞牆山など亜高山帯の山を実走済み
- 2026年7月18日に立山(3,000m)登頂を目指してトレーニング中
- 植物の専門家ではなく「登山者として知りたい」目線で書いています
この3種が出てくる標高帯
3種の出現する標高をまず頭に入れると、現地での見分けが楽になります。
| 標高帯 | 主な木 | 景観の特徴 |
|---|---|---|
| 1,500〜2,500m(亜高山帯) | シラビソ・ダケカンバ | 針葉樹と白い幹の木が混在する深い森 |
| 2,000〜2,500m(亜高山帯上部) | ダケカンバが純林に近くなる | 白い幹が目立つ明るい林 |
| 2,500m〜(高山帯・森林限界以上) | ハイマツ | 地面を這う低木が広がる開けた景色 |
「シラビソとダケカンバが混在する森を抜けると、やがてダケカンバが純林になり、さらに上がるとハイマツだけになる」
この流れを知っておくだけで、高山の景色が全然違って見えきます。
シラビソの見分け方

一番の特徴:「葉の先が尖らず凹んでいる・触ってもチクチクしない」

シラビソの葉は線形(細長い針状)ですが、先端は凹んでおり、手で触れてもチクチクしません。マツやスギのように尖った葉を想像していると「あれ、痛くない」と驚きます。これが最初の手がかりです。
また、葉は枝に螺旋状に密生しますが、枝がよく見えるのが特徴です。同じ亜高山帯に生えるオオシラビソは葉が密に重なって枝が隠れますが、シラビソは葉の間から枝が見えます。
葉の裏側には白い気孔帯が2本走っていて、光にかざすと白くキラッと見えます。
樹皮:灰白色で、ヤニ袋がところどころにある
樹皮に環状に並んだ粒々の皮目が目立ち、ところどころに横長のヤニ袋が見えます。このヤニ袋(樹脂が溜まって横に膨らんだ部分)を指で押すとプチっと破れて、透明な樹脂が出てきます。独特の爽やかな香りがします。
全体的に灰白色〜灰青色で、ブナのようにすべすべした質感があります。
樹形:円錐形にまっすぐ伸びる
樹冠が先の細い端正な円錐形です。クリスマスツリーのような樹形で、亜高山帯の針葉樹林の中でまっすぐ空に向かって伸びています。
シラビソが見られる山(関東近郊)
雲取山・瑞牆山・金峰山・八ヶ岳・富士山(五合目以上)・奥秩父の山々。
シラビソは本州(東北南部〜近畿)と四国の亜高山帯に分布します。関東から中部の山では標高1,500〜2,500mの範囲でよく見られます。
シラビソまとめ
決め手:葉の先が凹んでいる・触ってもチクチクしない
枝がよく見える
樹皮:灰白色・横長のヤニ袋がある
樹形:円錐形にまっすぐ伸びる
標高:1,500〜2,500m(亜高山帯)
代表的な山:雲取山・瑞牆山・八ヶ岳
ダケカンバの見分け方

一番の特徴:「赤みがかった樹皮がぺりぺりと剥ける」


ダケカンバの最大の特徴は樹皮です。
シラカバはペンキを塗ったかのような白い幹ですが、ダケカンバはやや赤みがかっていて樹皮がぺりぺりと剥けています。
薄い紙のように樹皮が何層にも剥けているのがダケカンバ。白くてつるつるなのがシラカバです。遠くから見ると似ていますが、近くに寄れば一発でわかります。
「岳樺」と書くように、シラカンバよりもずっと高いところに分布し、亜高山帯の上部や森林限界近くでしばしば純林に近いダケカンバ林を形成します。
シラカバとの違い(混同しやすいポイント)
| ダケカンバ | シラカバ | |
|---|---|---|
| 樹皮の色 | 赤茶色〜黄金色がかった茶色 | 白い |
| 樹皮の剥け方 | ぺりぺりとボロボロに剥ける | 剥けるが比較的きれい |
| 生えている標高 | 1,400m以上(主に亜高山帯) | 1,400m以下(主に山地帯) |
| 枝の伸び方 | ほぼ水平に伸びる | 斜め上に伸びる |
| 葉脈の数 | 7〜12対(多め) | 5〜8対(少なめ) |
それぞれが生息する標高がほとんど重ならないため、樺が天然の高度計の役割を果たしています。標高1,500m付近まではシラカバ、そこから1,500〜2,500mにかけてはダケカンバが見られます。
葉:やや縦長でスペード形
ダケカンバの葉はわずかに細長くスペードの形をしており、7〜12対の葉脈があります。シラカバの葉は丸っこい三角形で葉脈が5〜8対なので、並べて比べると違いがわかります。
樹形:幹が曲がりくねることが多い
風雪の厳しい高山に生きるため、幹が曲がりくねっていることが多いです。「踊り樺」という別名があるほど、独特の曲がった樹形をしていることがあります。
秋には黄色に紅葉し、白い幹とのコントラストが美しい。亜高山帯の紅葉の主役のひとつです。
ダケカンバが見られる山(関東近郊)
雲取山・瑞牆山・金峰山・谷川岳・八ヶ岳・北アルプス各峰。
ダケカンバまとめ
決め手:赤茶色〜黄金色がかった樹皮がぺりぺりと剥ける
(シラカバの白い幹とは全然違う茶色)
葉:縦長でスペード形・葉脈7〜12対
樹形:幹が曲がりくねることが多い
標高:1,400〜2,500m(亜高山帯)
天然の高度計:1,400m以上に増えてくる
代表的な山:雲取山・瑞牆山・谷川岳
ハイマツの見分け方


一番の特徴:「地面を這うように広がる・5本で一束の葉」

ハイマツは見た目が他の2種と全然違うので、一度見れば忘れません。
主となる幹がなく、複数の枝が地面を這うように伸びることから「這い松」と呼ばれます。高さは通常1〜3m程度で、稜線を埋め尽くす緑の絨毯のように広がっています。
ハイマツは5本で一束の針葉を枝につけています。指で枝をつかんで確認すると、5本の針が束になっているのがわかります。
葉:5本一束・断面が三角形
葉は長さ3〜9cmほどの硬い針状ですが、触れても痛くはありません。断面は三角形で、側面に白い気孔帯があるため、遠目からは全体的に白っぽく見えます。
「5本一束」を確認するのが一番確実な見分け方です。
ハイマツが生えている場所=森林限界の目印
ハイマツは森林限界以上に群生し、それより上には高木が育たないという指標「ハイマツ帯」を作ります。
「ハイマツが増えてきた」=「森林限界が近い」というサインです。これを知っているだけで、山の中での自分の位置感覚が変わります。
高木がなくて見晴らしがよく、いかにも高山らしい雰囲気に満ちたハイマツ林は高山植生の代表として扱われることが多いです。
ハイマツと松ぼっくり
ハイマツの松ぼっくりは卵形で長さ約5cm。熟しても開かないのが特徴です。種はホシガラス(カラス科の鳥)によって運ばれて分布を広げます。登山道でホシガラスを見かけたらハイマツのそばにいることが多いです。
立山とハイマツ
立山の高山帯では、斜面上部や稜線部はハイマツによって占められている立地が多いです。
2026年7月18日に立山登頂を目指している私にとって、ハイマツは「もうすぐ山頂」を知らせてくれる木です。
ハイマツまとめ
決め手:地面を這うように広がる低木
葉が5本で一束(確実な見分けポイント)
高さ:通常1〜3m
標高:2,500m以上(森林限界・高山帯)
意味:ハイマツが増えたら森林限界が近い
代表的な山:北アルプス・南アルプス・立山・八ヶ岳
3種の比較早見表
| シラビソ | ダケカンバ | ハイマツ | |
|---|---|---|---|
| 科・属 | マツ科モミ属 | カバノキ科カバノキ属 | マツ科マツ属 |
| 葉の形 | 細長い針状・先が凹む | 縦長でスペード形 | 5本一束の針状 |
| 触った感触 | チクチクしない | — | チクチクしない |
| 樹皮 | 灰白色・ヤニ袋あり | 赤茶色〜黄金色・ぺりぺり剥ける | — |
| 樹形 | 円錐形にまっすぐ | 曲がりくねることも | 地面を這う |
| 高さ | 20〜30m | 15〜25m | 1〜3m |
| よく見る標高 | 1,500〜2,500m | 1,400〜2,500m | 2,500m以上 |
| 常緑・落葉 | 常緑 | 落葉 | 常緑 |
| 代表的な山 | 雲取山・八ヶ岳 | 谷川岳・瑞牆山 | 北アルプス・立山 |
標高で覚える「高山の木の物語」
シリーズ第2弾の低山バージョンと合わせて、これで標高の全体像が見えてきます。
低山〜中山(〜1,500m)
→ コナラ・ミズナラ・ブナ(落葉広葉樹の森)
亜高山帯(1,500〜2,500m)
→ シラビソ(針葉樹の濃い森)
→ ダケカンバ(白い幹が混じる)
高山帯(2,500m〜・森林限界以上)
→ ハイマツ(地面を這う・開けた景色)
→ 高山植物の草花たち(第4弾で解説予定)
現地での最終確認ステップ
亜高山帯〜高山帯で「これは何の木?」と思ったときの確認方法です。
ステップ①:木の高さと樹形を見る → 地面を這っている低木 → ハイマツ
ステップ②:葉を確認する → 5本一束の針 → ハイマツ(確定) → 細い針・先が凹んでいる → シラビソ → 広くて平たい葉(落葉広葉樹) → ダケカンバ
ステップ③:樹皮を見る(ダケカンバの確認) → 赤みがかって薄く剥ける → ダケカンバ → 白くてつるつる → シラカバ(標高が低すぎる可能性)
まとめ
シラビソ
決め手:葉の先が凹む・チクチクしない・枝がよく見える
樹皮:灰白色・ヤニ袋がある
標高:1,500〜2,500m(亜高山帯の針葉樹林の主役)
ダケカンバ
決め手:赤茶色〜黄金色がかった樹皮がぺりぺりと剥ける
葉:縦長のスペード形・葉脈7〜12対
標高:1,400〜2,500m(天然の高度計)
ハイマツ
決め手:地面を這う低木・5本一束の葉
標高:2,500m以上(森林限界の目印)
意味:ハイマツが増えたら森林限界が近い
次回の第4弾では、登山中によく見る高山植物10選を解説します。ハイマツ帯に広がる花たち——ハクサンイチゲ・チングルマ・コマクサなど——を覚えると、高山の世界がさらに豊かに見えてきます😊
今日が人生で一番若い日! 亜高山帯の木を探しながら歩いてみてください⛰️😊
このシリーズの記事一覧
- 【第1弾】まず知っておくべき3つの分け方|針葉樹・広葉樹・常緑・落葉
- 【第2弾】ブナ・ミズナラ・コナラの見分け方
- 【第3弾】シラビソ・ダケカンバ・ハイマツの見分け方(この記事)
- 【第4弾】登山中によく見る高山植物10選(近日公開)
- 【第5弾】木を見るだけで標高がわかる!垂直分布入門(近日公開)




